池袋駅西口の東京芸術劇場(以下「芸劇」、豊島区西池袋1、TEL 03-5391-2111)が9月1日、リニューアルオープンする。1990年のオープン以来、さまざまなジャンルの演劇やオーケストラによるコンサートなどが行われてきたが、全面改修のため昨年4月から休館していた。
読響はリニューアルを記念し、9月1日よりマーラー「復活」の演奏会を行う
施された改修は各所に及ぶ。これまで大・中・小ホールと呼ばれていた区画が、それぞれ「コンサートホール」「プレイハウス」「シアターイースト・ウエスト」と改称。音響面の向上や、客席の勾配・配置を変更することで、演じる側と観覧客の距離感を縮めるなどの劇場づくりが行われた。アトリウムでは5階直通の1台のみしかなかったエスカレーターを2段階の乗り継ぎ形式とし、託児サービスやチケットを対面販売するボックスオフィスを新設するなど利便性向上にも配慮した。現行基準に合わせた構造補強や最新機器の導入によるCO2排出量の削減など、安全性、環境性への適合も進められた。
8月31日にはリニューアルオープン記念式典が行われた。
福地茂雄館長は「1年6カ月にわたる変身準備を進めてきた。今日、皆さまに披露することにした」とあいさつ。「上野公園が周辺の美術館などと一体になってきれいな街づくりを進めていったように、芸劇も隣の西口公園と一緒に発展できるよう、豊島区にも協力いただいた。芸劇は池袋の人々に愛される劇場でなければならない」とコメントした。
こけら落とし公演は読売日本交響楽団(読響)のコンサートや、芸劇の芸術監督を務める野田秀樹さん演出の舞台「エッグ」など。記念式典では読響によるチャイコフスキー「弦楽セレナーデ 第一楽章」などの演奏が披露され、野田さんは「リニューアルに関わった全ての皆さんに感謝したい。芝居が好きな人も知らない人も来てもらえる劇場にしていきたい」と展望を述べた。
リニューアルを機に、新たなテナントもオープンする。これまでメトロポリタンプラザにあった郵便局が移設され、「東京芸術劇場郵便局」として新たに開局。大橋かおり局長は「今までメトロポリタンプラザの9階にあったが今度は芸劇の1階に移ったので、より地域に密着した郵便局にしていきたい」とコメントした。ベルギービールカフェ「ベルグオーブ」などの飲食店も出店する。