目白・椿山荘内の料亭「錦水」(文京区関口2)で10月16日、「椿山荘三重塔修復落慶記念茶会」が開催される。椿山荘の庭園に建立されている三重塔「圓通閣」の改修から1周年を記念するもので、翌17日には塔内に奉安される「聖観世音菩薩(ぼさつ)」像の法要も行われる。
三重塔はもともと竹林寺(広島県東広島市)にあったが1925(大正14)年、藤田財閥の2代目当主であった藤田平太郎男爵が椿山荘内に移設。戦後、藤田興業(現・藤田観光)が椿山荘を継承し結婚式場・ホテルの営業を開始したことから一般客も見学可能となり、2003年には登録有形文化財となった。昨年は「平成の大改修」が行われ、1420年ごろの部材が使われていることも判明。改修完了後に圓通閣と名付けられ、聖観世音菩薩が奉安された。
明治期に椿山荘を所有していた山県有朋がたびたび茶会を催していたことや、敷地内に茶室を有することから、修復1周年を茶会で祝うこととなった。「(今回の茶会は)同業他社にはない当社の歴史的・文化的資産を発信する機会。『錦水』で和のおもてなしを堪能いただければ」と藤田観光の矢後恵美子さん。濃茶席では三重塔にゆかりのある人物として、臨済宗相国寺派の有馬賴底管長が席主を務める。有馬管長は京都・鹿苑寺(ろくおんじ、金閣)、慈照寺(銀閣)の住職でもあり、昨年、三重塔が圓通閣と名付けられた際に扁額(へんがく)の書を手掛けた。薄茶席では表千家家元直門・教授の渡邉千保さんが席主を務める。
茶会は5回(9時、10時30分、12時、13時30分、15時)に分けて開催され、会費=2万円。問い合わせは藤田観光・椿山荘三重塔修復落慶記念茶会事務局(TEL 03-5981-7750)。