要町で建築事務所「吉川の鯰(なまず)」が運営する古民家カフェ「なんてんcafe」(豊島区要町1、TEL 03-5986-1087)が5月15日に3周年を迎えた。7月21日には「夏祭り」や「朝市」などのイベントを開催する。
店舗面積は約33平方メートル、カウンター席と座敷席の15席。店名の「なんてん」は玄関先に植えられている南天の木が由来。コンセプトは「街の人のダイニング」。店内は石畳の通路や、畳や麻のタイルカーペットを用いた座敷、漆塗りの天井など、もともとある古民家の味を生かしたデザイン。
店は2010年5月、築67年の木造古民家をリノベーションし、2階を建築事務所、1階をショールームやレンタルスペースとしてオープンした。1年目は来店した人に抹茶をたてて出していたが、2年目には店員を雇い「手作り天然酵母パン」も提供するようになった。このころから「食」のカラーが強まり、3年目にはカウンターやキッチンを1階に作り「ごはんもの」の提供を本格的に始めた。まちづくりとして要町かいわいの店のお菓子の取り扱いや、椎名町の並木米穀店の米の使用も始めた。同店店長・大石さんは「人の出入りも増え、地域の公民館のようになった。当初の静かでクールな雰囲気は、人のぬくもりや生活感があるアットホームな雰囲気に変わった」と話す。
メニューは、かまどで炊いた米や健康に気遣ったおかずを付ける週替わりのランチ「要町定食」(950円)、アイスや白玉など全て手作りの「あんみつ」、抹茶(以上500円)など。お酒(600円~)やおつまみ(350円~)も提供している。
レンタルスペースは9時~11時30分貸し出している(1時間=1,000円)。現在「ベビーマッサージの会」や「親子で手縫いの会」などが定期的に行われている。レンタルギャラリーやパーティープランも用意している。
同建築事務所の岸本さんは「建築は建てて完成するのではなく、街があり、建物ができ、そこに人が住まい、暮らしが発生して初めて意味を持つ。建築のものづくりの観点から人の暮らしを考え、暮らしから食と発展し、より良い暮らしが送れるように心掛けた」と話す。「要町には良いお店がたくさん点在している。同じ通りに集まれば『線』になってもっと盛り上がる。まちづくりの先駆けとして要町を変えるべく、シンボリックな建物を目指している」とも。
7月21日には終日イベントを開催する。午前は店員の肉親が作った農作物や、前店長の手作り天然酵母パンを販売する「朝市」、午後は「ノスタルジー」をテーマとした、大人も子どもも楽しめる「夏祭り」を開催する。子ども向けに、廃材を用いて木の触り心地を楽しむ「工作体験」も行う予定。
営業時間は11時30分~22時(不定休)。休みなど詳しくはホームページで確認できる。