要町の「豊島区立熊谷守一美術館」(豊島区千早2、TEL 03-3957-3779)で現在、開館30周年記念展が開催されている。
画家の熊谷守一さん(1880年~1977年)の作品が東京で唯一、常設で見られる同美術館。熊谷守一さんの次女で館長の熊谷榧(かや)さんが、「父は絵描きだから、絵だけが残ればよい」という思いから、守一さんが45年過ごした旧宅跡地に1985(昭和60)年5月28日、私設として設立。2007年に豊島区に153点(うち油絵23点)の作品を寄贈し、区立美術館となった。
晩年の作品に多く見られる、草花や動物といった身近な題材をシンプルな線と構図で簡略化して描いた様式は「守一様式」とも呼ばれ、多くのファンを獲得している。一見抽象画風に見える、その様式は「具象を突き詰めて、余分なものをそぎ落としていき、簡単な線でも対象を描ききることができるよう試行を重ねた結果」だ、と榧さんはいう。
同企画展では同美術館所蔵の作品をはじめ、愛知県美術館、岐阜県美術館、名古屋市美術館の3カ所の美術館と個人が所蔵をしている作品から、晩年の作品を中心に100点以上を展示。中には「猫」や「雨滴」などの人気の高い作品も。
1階には主に、晩年に描かれた油絵の作品を展示。2階には書と墨絵、クロッキー、3階には30代前半から50代ごろまでの作品を展示する。館内を巡ることで、作品の変遷や試行の過程を楽しむことができる構成となっている。
「東京でこれだけの人気作品を見ることができる機会はなかなかないので、ぜひ足を運んでもらいたい」と同美術館のスタッフ。
期間中限定の公式ツイッターでは、新着情報や混雑情報などを随時配信する。
開館時間は10時30分~17時30分(金曜は20時まで)。月曜休館。観覧料は一般=700円、高・大学生=500円、小・中学生=100円。6月28日まで。