
平福百穂《観潮楼歌会》(「スバル」3号 1909年3月 裏表紙より) 右から、平野万里、鴎外、鴎外長女・茉莉、佐佐木信綱、与謝野寛、伊藤左千夫。
文京区立森鴎外記念館では2026年10月10日(土)から2027年1月11日(月・祝)まで、特別展「観潮楼歌会―鴎外の歌壇観測」を開催いたします。
観潮楼歌会(かんちょうろうかかい)は、1907(明治40)年3月から約3年間、森鴎外が主宰し自邸・観潮楼(現・当館)で開催した歌会です。短歌に関心をもっていた鴎外が、結社の隔たりを縮めようと、当時の歌壇を代表する伊藤左千夫(根岸短歌会)や与謝野寛(東京新詩社)、佐佐木信綱(竹柏会)らを招き、始まりました。出席者には変動がありますが、上田敏、北原白秋、吉井勇、石川啄木、木下杢太郎、斎藤茂吉ら、今でもよく知られる歌人たち延べ21人が参加しました。
「趣味及作風の異つた同士が毎月一回自作を持寄つて、直截(ちょくせつ)なる批評を交換する会」(与謝野寛『文芸彙報』)で、作者名を伏せた詠草(詠んだ歌を記した紙)を回覧・選歌し、盛んに批評が交わされたといいます。評価を意識した歌風の変化、歌会の枠を超えた文芸談義など、刺激を与えあう交流は、鴎外や参加者の新たな創作への動きにつながっていきました。
観潮楼歌会の正式な記録は残っていませんが、30回ほどの開催が確認でき、鴎外と参加者の日記や書簡、回想などから歌会の様子をうかがい知ることができます。本展では、それらを辿りながら、観潮楼歌会の全体像を観測します。
■開催概要
展覧会名:特別展「観潮楼歌会―鴎外の歌壇観測」
会 期:2026年10月10日(土)〜2027年1月11日(月・祝) 計82日間
休 館 日 :10月26日(月)・27日(火)、11月24日(火)・25日(水)、
12月21日(月)・22日(火)、12月29日(火)〜1月3日(日)
開館時間:10時〜18時(最終入館は17時30分)
会 場:文京区立森鴎外記念館
観 覧 料 :一般600円 ※中学生以下無料、障害者手帳ご提示の方と介護者1名まで無料
主 催:文京区立森鴎外記念館
出品協力:県立神奈川近代文学館、公益財団法人日本近代文学館、群馬県立土屋文明記念文学館、
山武市歴史民俗資料館、茅野市八ヶ岳総合博物館、東京大学総合図書館ほか

伊藤左千夫筆石原純宛はがき 1907年3月26日 山武市歴史民俗資料館蔵 30日に開催される鴎外発意の会合(第一回歌会)の案内がきたと伝える。

石川啄木筆鴎外宛はがき 1908年9月29日 歌会案内の受領と、10月3日の会には必ず出席すると伝える。

『鴎外日記』1909年1月9日 観潮楼歌会を催し、初めて斎藤茂吉が参加したことなどを記す。

鴎外『沙羅の木』阿蘭陀書房 1915年 観潮楼歌会で詠んだ短歌などをまとめた『我百首』収録。序文で観潮楼歌会の頃を回想する。

「スバル」創刊号 1909年1月 観潮楼歌会に集った石川啄木、木下杢太郎、北原白秋らによって創刊。鴎外は指導的立場で、毎号寄稿した。

吉井勇自筆原稿『観潮楼歌会の頃』 1952年 観潮楼歌会の様子を紹介しながら、斎藤茂吉との出会いをつづる。

斎藤茂吉自筆原稿『鴎外先生と和歌』 1943年 詩歌集『うた日記』や観潮楼歌会で詠まれた鴎外の和歌を引用しながら、その変遷を解説する。
※生没年、職業、出身地(現在の地名)、主な著書の順に記載。
伊藤 佐千夫 1864〜1913 歌人、小説家。千葉県山武市生まれ。『野菊の墓』『左千夫歌集』
佐佐木 信綱 1872〜1963 歌人、国文学者。三重県鈴鹿市生まれ。『思草』『新月』
与謝野 寛 1873〜1935 歌人、詩人。別号・鉄幹。京都府京都市生まれ。『うもれ木』『相聞』
平野 万里 1885〜1947 歌人、農商務省技師。埼玉県草加市生まれ。『若き日』
上田 敏 1874〜1916 詩人、英・仏文学者。東京都中央区生まれ。『海潮音』『文芸論集』
長塚 節 1879〜1915 歌人、小説家。茨城県常総市生まれ。『土』『鍼の如く』
石川 啄木 1886〜1912 歌人、詩人。岩手県盛岡市生まれ。『あこがれ』『一握の砂』
北原 白秋 1885〜1942 詩人、歌人。福岡県柳川市生まれ。『邪宗門』『思ひ出』『雲母集』
吉井 勇 1886〜1960 歌人、劇作家。東京都港区生まれ。『酒ほがひ』『祇園歌集』『午後三時』
都築 甚之助 1869〜1933 陸軍軍医、細菌学者。愛知県刈谷市生まれ。
賀古 鶴所 1856〜1931 陸軍軍医、耳鼻科医。静岡県浜松市生まれ。
木下 杢太郎 1885〜1945 詩人、劇作家、医学部教授。静岡県伊東市生まれ。『食後の唄』
古泉 千樫 1886〜1927 歌人。千葉県鴨川市生まれ。『川のほとり』『屋上の土』『随縁鈔』
服部 躬治 1875〜1925 歌人、国文学者。福島県須賀川市生まれ。『迦具土』『春夏秋冬名歌選』
平出 修 1878〜1914 歌人、小説家、弁護士。新潟県新潟市生まれ。『逆徒』『畜生道』
斎藤 茂吉 1882〜1953 歌人、医師。山形県上山市生まれ。『赤光』『堂馬漫語』
平福 百穂 1877〜1933 日本画家、歌人。秋田県仙北市生まれ。『寒竹』『過眼小景帖』
石井 柏亭 1882〜1958 洋画家。東京都台東区生まれ。
森田 草平 1881〜1949 小説家。岐阜県岐阜市生まれ。『煤煙』『輪廻』『吉良家の人々』
高村 光太郎 1883〜1956 詩人、彫刻家。東京都台東区生まれ。『道程』『智恵子抄』
与謝野 晶子 1878〜1942 歌人、詩人。大阪府堺市生まれ。『みだれ髪』『恋衣』『新訳源氏物語』
展示資料の図版や解説、論考、関連年譜を収録した展覧会図録を、開幕日10月10日(土)より館内ショップにて販売します。通信販売にも対応しています。
A4判・60頁(予定) 予価:税込880円 発行日:2026年10月10日(土)
○展示関連講演会
・講演会1.「変遷・曲折・鴎外短歌」
文豪鴎外の偉業のなかに伝統詩としての短歌はどう位置づけるべきか。観潮楼歌会とは、いったい何だったのかを探ります。
講師:今野寿美氏(歌人・宮中歌会始選者)
日時:2026年11月7日(土)14時〜15時30分
料金:無料(参加票と本展覧会観覧券(半券可)が必要)
・講演会2.「観潮楼歌会に集った若者たち-木下杢太郎を軸に交流を探る-」
観潮楼歌会で鴎外の謦咳(けいがい)に接した若者たちの交流を、木下杢太郎を軸に辿ります。
講師:丸井重孝氏(伊東市立木下杢太郎記念館前職員)
日時:2026年11月28日(土)14時〜15時30分
料金:無料(参加票と本展覧会観覧券(半券可)が必要)
○関連イベント 新・観潮楼歌会「対決!観潮楼歌会に集うスター達PART2」
現代歌壇を彩る二人が、観潮楼歌会に出席した歌人の短歌を選出し戦わせる5 番勝負を行います。
出演:石川美南氏(歌人)、佐佐木定綱氏(歌人)
日時:2026年11月15日(日)14時〜16時
料金:2,000円
※講演会、イベントはいずれも定員50名、事前申込制。申込方法等詳細は、当館HP等でお知らせします。
○ギャラリートーク
日時:2026年10月28日(水)、12月9日(水)、2027年1月6日(水)14時〜(30分程度)
申込不要、要当日の展示観覧券
○11月1日(日)は開館記念日
開館を記念して、当日本展を観覧された方に、オリジナルポストカードをプレゼントします。
森鴎外とは
1862(文久2)〜1922(大正11)年。陸軍軍医、小説家、翻訳家、医学博士。本名・森林太郎。
現在の島根県鹿足郡津和野町に、津和野藩主・亀井家の典医を代々務めた森家の長男として生まれる。1872(明治5)年に10歳で上京。東京大学医学部を卒業後、陸軍軍医となる。1884(明治17)年、ドイツ留学。帰国後の1889(明治22)年に共訳詩集『於母影』を、翌年に小説『舞姫』を発表し文壇で名声を高めた。1907(明治40)年、陸軍軍医総監、陸軍省医務局長に就任。公務の傍ら、『青年』『雁』『山椒大夫』『高瀬舟』『渋江抽斎』などを執筆した。
文京区立森鴎外記念館とは
森鴎外が1892(明治25)年から没する1922(大正11)年までの30年間を過ごした、邸宅「観潮楼」跡地に建つ記念文学館。鴎外生誕150年目に当たる2012(平成24)年に開館した。敷地内には鴎外生前の風景を偲ばせる大イチョウ、庭石(通称「三人冗語の石」)、正門跡の敷石などが遺る。地下一階展示室で年間4回開催している企画展と、様々なイベントをとおして、鴎外の生涯や業績を顕彰している。
※このページでは、一部の日本語環境で表示できないため、「鴎」を新字で表記しています。
お問い合わせ
文京区立森鴎外記念館
〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-4
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